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小人の家 奥の部屋(夜)

ラディオン「ホントに起きちゃった・・・。」

バッチリと目を開けた女のコの顔を覗き込む6人の小人たち。
赤ちゃんのクッキはベットの上で眠ってしまっている。
目を覚ました驚きと、女のコの愛くるしい顔立ちに見とれる6人の小人たち。

6つの顔を見て驚くわけでもなく、ただぼんやりとみんなの顔を眺める女のコ。

女のコ「だあれ?」

6人の小人「!!!」

ノエルボ「ノエルボだよ!キミはだあれ?」
プノ「ねえ、だあれ?だあれ?」
やっとお話が出来ると喜ぶ2人。

デイジー「どこから来たの?」
みんな女のコに興味津々の様子で乗り出してくる。

ルッツ「待った待ったー。」
すかさずルッツが乗り出す3人を両手で払うような仕草を見せ、さらに前に乗り出してくる。

ほっべたをぷーっと膨らませるノエルボとプノ。

ルッツ「起きてすぐはまだ脳がおやすみ状態なんだよ。
覚醒してないから矢継ぎ早の質問をしたところで時間の無駄さ。今質問攻めをするのは得策ではないよ!」

女のコにいい所を見せようとするルッツ。
鼻息荒く雄弁に語るルッツの表情は
どこかすがすがしく見える。

そんなルッツの様子を見てキョトンとした顔になるモギ。

ラディオン「キミ、どこの子?」
女のコ「知らない」
ラディオン「お名前は?」
女のコ「分からないわ。」

6人の小人「!!!」

ルッツ「自分の名も分からない・・・これはまずいなぁ。この状態から推測するに、答えはおのずと出てくるぞぉ。」
得意げに語るルッツ。

ルッツ「森で発見、3日間眠り続け、起きたら名前を失っている・・・ここから導き出されるものは・・・」
ためにためるルッツ。

ルッツ「これは、おそらく・・・き」

ルッツが話している所を被せるようにルッツ・クッキ以外の5人の小人が叫ぶ。

5人の小人「記憶喪失!」

最後の決め台詞を取られて不満気な表情のルッツ。

ラディオン「とりあえず名前を考えないとなぁ。」
プノ「どんな?どんな?」

ラディオン「みんなでこの子にふさわしい名前を付けてあげよう。みんなが出した名前から一番しっくりくる名前を当面この子の名前にする・・・どお?」

5人の小人「賛成〜。」

デイジー「月の綺麗な日に来たからムーン。」
プノ「のんびりしてるからノン。」
プノ「すやすや眠ってたからスゥスゥ。」

プノの考えた名前に全員が笑う。

ルッツ「こうゆう時は統計的に言うと、見つかった場所とリンクさせておくというのが常識、千寿の森で発見されたから千(せん)!」

モギがクスクス笑っている。
クッキはベットですやすや眠ったまま。
それ以外の小人たちは目配せしながら「それはないわ〜」の表情になる。

ラディオン「デイジーの月の話にヒントをもらって・・・、ローマ神話で月の女神は「ルナ」って呼ばれているんだ。だから、月の綺麗な日にやって来た女神様という事で「ルナ」。・・・どうかな?」

5人の小人「それだ!!!」
みんなが笑顔になってラディオンの付けた名前を気に入る。

6人「月の女神様ルナ!」

ラディオン「とりあえず今日からこの子の名前をルナにします!いいね?」

手を叩く6人の小人たち。
和やかなムードが漂う室内。

ルナ「ねえ、お腹すいたー。」
ノエルボのお腹がぐ〜っと鳴る。

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