千寿の森港(昼)
船から降り千寿の森の入口へと進むスコップとルビッチ。
港は閑散としており人の気配がない。
ルビッチ「ホントにこの港であってるんですか?」
不安げにスコップを見上げるルビッチ。
スコップ「オレの地図は絶対だ。方向方角間違うわけがない。」
少し歩いて行くと入口らしき場所に出る。
木が生い茂り、鬱蒼としている。
入口らしき木々を見上げるルビッチ。
ルビッチ「ここがホントに千寿の森なんですかね・・・」
スコップ「間違いない、ここだ。」
木に立てかけられた看板らしきものに近づき、汚れを手で払いのけるスコップ。
汚れた看板から文字が表れる。
「千寿の森」と綺麗な字体で書かれた文字が表れる。
スコップ「ほらみろ、やっぱり千寿の森だ!」
得意げな顔でルビッチに振り返るスコップ。
ルビッチ「・・・ですね・・・」
森の風体に少し足がすくむルビッチ。
スコップ「さあ行くぞ。」
入口をくぐるスコップとルビッチ。
冒険の始まり。
千寿の森を歩き進めるスコップとルビッチ。
スコップの両手には大きな地図が広げられている。
ルビッチ「ホントにこの方角であってるんですか?突然大蛇がバーンなんてないですよね・・・」
不安げに体をかがめるルビッチ。
スコップ「なあ〜に、心配するな、スコップ様の勘は絶対だ。」
話しているスコップの脚はブルブルと震えている。
スコップの震える脚を見て「ヒィっ」という顔になるルビッチ。
千寿の森は入口こそ鬱蒼としていて他を寄せ付けない張りつめた空気を放っていたが、中へ入るとそこまでの不気味さはなく、まだお昼間の為、視界も良好。
スコップ「地図上ではこの辺りがオルフェの家になるんだけどなぁ・・・」
地図とにらめっこするスコップ。
ルビッチ「オルフェさんてどんな方なんですか?」
スコップ「モグラのオルフェって言ったら穴掘りスコップの界隈では有名なモグラさ。」
ルビッチ「モグラ・・・」
スコップ「穴堀の技術を教えてくれた、言わばおっしょう(お師匠)さんのような存在かな・・・」
ルビッチ「そうなんですか・・・!」
何かを見つけるルビッチ。
ルビッチ「!あそこじゃありませんか!?」
先にある家を指さすルビッチ。
2人の先には小さな家が一軒ポツンと建っている。
オルフェの家(昼)
オルフェの家の前に立つスコップとルビッチ。
スコップがドアにぶら下がった鈴を鳴らす。
リーン♪
ルビッチ「随分と重たそうな扉ですね・・・」
扉を見つめるルビッチ。
中からの応答はないが、誰かが居る気配がする。
こちら側の様子を監視しているかのように扉にカメラが寄っていく。
扉のアップ。
重い扉が少しずつ開く。
オルフェ「!!!」
スコップを見て驚くオルフェ。
スコップ「オルフェ師匠!ご無沙汰しております。」
再会に目を輝かせるスコップ。
オルフェ「スコップ!よく来たなぁ!」
言うなりルビッチに目をやる。
ルビッチ「はじめまして、ルビッチです。」
ペコリと頭を下げるルビッチ。
オルフェのリビング(昼)
オルフェ「少女を探しに?」
コーヒーを運びながらオルフェが尋ねる。
スコップ「はい。なんでもバミューダ王国のお嬢様が3年ほど前から行方知れずという事で・・・」
オルフェ「・・・バミューダの・・・」
急に険しい顔になるオルフェ。
ルビッチ「この千寿の森に来たのではないか、と言われています。お心当たりはございませんか?」
オルフェ「んー・・・、3年ほど前、とある少女が千寿の森へ迷い込んだという噂話は聞いた事があるが・・・」
ルビッチ「その子は今どこに?」
せっついて聞くルビッチ。
オルフェ「噂だと7人の小人の家に行ったとか・・・」
ルビッチ「そこへ連れて行って下さいっ!」
オルフェ「まあ落ち着け。今から行っても帰る頃には夜になる。明日の朝早くに出発した方が賢明。」
ルビッチ「分かりました。」
乗り出した体を引っ込めて座るルビッチ。
オルフェ「スコップも行くんだろ?」
スコップ「いや、私はちょっと・・・」
ルビッチ「色々とこちらの噂話もありまして」
オルフェ「噂?」
ルビッチ「大蛇がいるとかいないとか・・・」
オルフェ「スコップ、大蛇が怖いんか?」
スコップを見つめるオルフェ。
スコップ「バカ言いなさんな・・・、大蛇なんかを恐れるスコップ様じゃない。」
話すスコップの足元をチラッと見るルビッチ。
スコップの脚は小刻みに震えている。
ルビッチ「日が暮れると危ないですから、早めに出発を。」
微笑みながら帰りを促すルビッチ。
スコップ「そうだな、そろそろ行くかな・・・」
オルフェ「スコップ、その扉を開けると地下道に繋がる道が掘ってある。地上よりも最短で港に出るからそこを使うといい。」
スコップ「ありがとう、オルフェ師匠。」
ルビッチ「ありごとうございました!気をつけて。」
スコップ「健闘を祈る!」
拳を上げたスコップが扉の中へ。
重い扉がバタンと閉じる。