えんとつ町港(朝)
冒険の朝。
太陽光が出発するルビッチたちを照らす。
港にはローラ、ドロシー、アントニオ、レベッカ、元えんとつ掃除の仲間が駆けつけている。
アントニオ「ホントに行くのかよ・・・」
心配そうにルビッチを見つめるアントニオ。
ルビッチ「うん!少し怖いけど、今はワクワクでいっぱいなんだ。」
アントニオ「すげーな、お前は。いつも俺のずっと前を走ってるよ・・・」
少しいじけてみせるアントニオ。
〇〇「何カッコ悪い事言ってんのよ!あなたはあなたの思う方へ進めばいいじゃない。いじけてる暇なんてないのよっ!」
アントニオをキリッとした目で見る〇〇。
スコップ「じゃあそろそろ行くか?ルビッチ。」
船上に移動するスコップ。
ルビッチ「はい。」
振り返ったルビッチがみんなに挨拶をする。
ルビッチ「皆さん、今日は朝早くから集まってくれてありがとうございます。」
帽子を取ってペコリと頭を下げるルビッチ。
ルビッチ「ボクは今からバミューダ王国のお嬢さんを探しに千寿の森という所に行ってきます。色んな事を聞いて、正直今日の朝まで怖くてブルブル震えていました。・・・でも、みんなの顔を見たら自然と勇気が湧いてきて、千寿の森を見てみたい!という強い興味が出てきたんです。そこがどんな所なのかは行ってみないと何もわ分かりません。怖いから行かない、怖いから諦めるはしたくないんてす。」
話し終わるとアントニオの方へ少しだけ歩み寄るルビッチ。
ルビッチ「アントニオ、ボクはなんにも凄くなんかないんた。みんなとおんなじでいつも怖くて震えてる。でもそんなボクに、いつもみんなが力をくれるんだ。アントニオの言葉もボクに力をくれているんだよ。」
アントニオを見つめて微笑むルビッチ。
アントニオ「バ・バカヤロウ!そんな事言ったらせっかく我慢してたのにまた泣いちまうじゃないかよ・・・」
抑えきれずに泣き出すアントニオ。
〇〇「バカねぇ、ほんっとそんな大きな体をして泣き虫なんだから。」
あきれた顔の中に優しい表情でアントニオを見る〇〇。
ローラの前に行くルビッチ。
ローラ「母ちゃんは信じてるからねっ!思う存分やってきな!・・・ただ、必ず帰ってくるんだよっ!」
目に涙を浮かべたローラが叫ぶ。
ルビッチ「はいっ!!!」
体いっぱいで返事をするルビッチ。
ルビッチたちを乘せた船が動き出す。
手を振るえんとつ町の住人。
少しずつ港を離れていく船。
手を振りながら港の先まで走っていくアントニオ。ローラも手を振りながら涙を流している。
船上からおもいっきり手を振るルビッチ。
横のスコップは右手をグーにして頭上に高く伸ばす。
次第に船が小さくなっていく。
次第にえんとつ町の港が小さくなっていく。
太陽光が小さくなった船へと一直線に光を照らしている。
船上
海の上は静かで穏やかさを保っている。
スコップ「しばらくこの海路を進めばいい。」
年期?の入った地図を両手で広げながら話すスコップ。
ルビッチ「・・・」
海をぼんやりと眺めているルビッチ。
スコップ「?」
ルビッチの様子を見ているスコップ。
ルビッチ「父ちゃんもこの海を見ていたのかな・・・」
黙ってルビッチを見つめるスコップ。
ルビッチ「父ちゃんは何を思っていたんだろう・・・」
スコップ「じきに分かるさ。」
スコップを見て静かに頷くルビッチ。