ルナの眠りの中
千寿の森(早朝)
千寿の森を一人歩くルナの後ろ姿。
早朝のピリッとした空気に霧がかかる。
トボトボと歩き、歩みが弱まり地べたにへたり込むルナ。
ルナ「お腹すいたなぁ。」
うなだれるルナ。
すると霧ががった千寿の森にサァーっと一吹きの風が吹く。
モヤがかった景色が一瞬にしてクリアになる。
甘い香りが漂い、辺りを見渡すルナ。
目の前には千寿の実が一面に咲き誇る。
朝日に照らされた千寿の実が七色に輝く。
ルナ「すごいわぁ〜。」
急いで立ち上がり千寿の実のある方へと進むルナ。
千寿の実のある所でしゃがみ込み千寿の実を一粒手に取る。
摘んだ実を高くかかげ、摘んだ指をくるくると左右に半回転させ太陽の光に照らす。
千寿の実が光に照らされ虹色に光り輝く。
ルナの顔が一気に華やぐ。
(嬉しさでウキウキする)
ルナ「なんて綺麗な実なのかしら。」
しばらく光る実を眺めた後、千寿の実から香る甘い香りを嗅ぐルナ。
ルナ「いい香り〜。」
甘い香りに誘われて実を口に入れる。
甘酸っぱい味が口いっぱいに広がりルナの顔がさらにパッとする。
暫くもぐもぐ噛んだ後、ゴクリと飲み込むルナ。
ルナ「甘くてとっても美味し・・・」
途中まで話した後、喉をつまらせる。
ルナ「んぐ・・・ゴホゴホ・・・」
喉を抑えてパタリと倒れ込むルナ。
顔からは大量の汗が流れ出る。
浅い息が続く。
草原の茂みが大きく搖れ、大きな影が現れる。
黒い影が倒れているルナの方へと近づく。
大きな影が倒れているルナに覆いかかる。
ルナの全身が大きな影に丸ごと包まれる。
カメラが俯瞰撮りになり、影の正体(後ろ姿)が明らかになる。
大蛇の顔のアップになり、恐ろしい顔をした大蛇が映し出される。
次の瞬間、倒れているルナを起こし声をかけ始める大蛇。
口を少し開けたルナからは呼吸らしきものがない。
起こしたルナの顔を見て驚く大蛇。
大蛇「!!!・・・ルイザ・・・?」
暫くルナの顔を見つめる大蛇。
ヘビ「・・・バカな・・・もう四半世紀も前の事・・・まだこんな幼子のままでいるはずがない。」
ルナの息がない事に気づき、我に返る。
再びルナの顔を見つめた後、
千寿の実がなる草原を見渡す。
するとヘビの目がボワーっと光り出し、七色に輝く。
七色の光がいくつもの千寿の実を照らし出す。
ヘビは急いで光が届いた千寿の実を一粒摘み、ルナの口へ。
ルナを抱き抱えたままヘビが天に向かい叫ぶ。
ヘビ「この幼子に再び命の火を与えよ!」
すると晴れ渡っていた空が一気に曇り、強い風が吹き始める。
ゴーゴーと風の音が強さを増し、稲妻がビカッと光り出す。
いくつもの稲妻が地に落ち、その一つがルナを抱えたヘビのすぐ隣へ落ちた。
地面を伝う振動と光が爆発し、光と竜巻がルナを抱えたヘビごと飲み込む。
ゴーゴーと渦を巻く竜巻。
次第に竜巻の力が弱まり、ルナを抱えたヘビが姿を現す。
曇りがかっていた空が一気に晴れ渡り、風のない穏やかな森にかえる。
しばらくルナを抱えたまま動かないヘビ。
少しの時間が経った後、ルナを抱えていた手を緩める。
眠っているルナを見つめるヘビ。
ヘビ「・・・ルイザ?・・・」
ルナの呼吸を確認し、安堵の表情を見せるヘビ。