バミューダ王国の家来数名が姫を探しに森の中を進む。
日が沈みかけている千寿の森はとても静か。
虫の声もなんの音もしてこない。
家来A「姫ーーー。」
家来B「姫様ーーー。」」
家来たちの声だけが森に響く。
家来C「ホントに姫はこんな所に来たのか⁉」
家来A「分からない。ただ可能性のある場所は確認しておきたいんだ。」
家来B「姫様一人の足でこんな所まで来れるものなのか・・・?」
3人が歩み進めると静かだった千寿の森に突然サァーーーっと強い風が吹き荒れる。
たちまちクリアに見えていた視界にモヤっと霧がかかる。
家来C「なんだか少し寒くなってきたなぁ。」
家来B「本当に。モヤががかかってよく見えん。」
家来A「先を急ごう。」
3人が歩み進めると蔦のようなものでできた小道の入口に辿り着いた。
その狭い道をかがみながら進む3人。
家来A「随分狭いなぁ。」
家来C「少し不気味ですね、怖いなぁ・・・」
家来B「本当にこの道であってるんですよね?」
不安な空気が流れる。
しばらく歩くと出口付近から光が漏れ出す。
出口に出た3人。
先程のモヤがかった場所とはうって変わり、霧が晴れた〇〇草原?。
辺り一面に赤い実をつけた花が咲き誇る。
家来ABC「わあ〜〜〜。」
キラキラと光る赤い実が幻想的に光っている。
虹色に光る絨毯のよう。
赤い色なのだが、光が反射して七色にも見えてくる。
不思議な実。
そして甘い香りが辺り一面にたちこめ、ここだけが異空間と化す。
家来C「良い香りがしますね。何の実だろう・・・。」
たまらず実のある方へと入っていく家来C。
家来A「何か分からぬ物を口にするでないぞ。」
家来Aの忠告など気にも止めず、甘い香りに誘われて家来Cは実のなる奥地まで進んでいく。
家来C「なんて良い香りなんだ・・・。」
たまらずしゃがみ込んで実を一粒摘む家来C。
家来C「ここ、沢山実がなってますよ!」
大声で他の2人を呼ぶ家来C。
家来B「じゃあ私も・・・」
足を踏み入れた家来Bが一気に凍りつく。
何かを一点見つめる家来Bが声にもならない声を出す。
家来B「あ・・・あわ・あ、」
様子がおかしい家来Bの視線の先を見る家来A。
家来Cの口には、ちょうど赤い実が放りこまれた所。
家来A「!!!」
家来Bが見たモノを見るやいなやあまりの恐ろしさに一歩後ずさってしまう。
体が固まる家来A。
家来A「・・・」
家来Cの真後ろには大きな大きな大蛇が今にも家来Cを飲み込もうとしている。
見たこともない大きさに固まってしまった家来Aだが、すぐさま気持を立て直し、大声を張り上げる。
家来A 「Cーーーっ!後ろに大蛇がいるっ!!!
早く逃げろーーーっ!!!」
家来Bはその叫び声で気を持ち直し、一目散に今来た方へと逃げ出す。
家来Cの顔にカメラが寄る。
何かの気配を感じ取り恐怖で顔が硬直する家来C。
顔からは汗がひとしずく流れ落ちる。
スローモーションになり、恐怖て口がポッカリ開いた家来Cがゆっくりと後ろを振り向く。
(スローモーション)
家来Aが必死の形相で叫んでいるが
音はミュートになっている。
家来Aの口は「逃げろーーーっ!!!」
となっている。
大きな口を開いた大蛇の顔が画面いっぱいに映る。
長く先の割れた舌が家来Cの鼻先に付きそうになっている。
大蛇のあまりの大きさにポッカリ開いた口は閉じられて、生つばをゴクリと飲み込む家来C。
その拍子に口に入れていた実も思わず一緒に飲み込んてしまう。
再び大蛇の顔のアップ。
さっきまで大きな口を開けていた大蛇の口は閉じられている。
その後家来Cがバミューダ王国に再び戻る事はなかった。(3)
6時43分になりました。
それではまた。